
20年くらい前の話です・・・
バイクで九州一周をしていて、その日は鹿児島を朝出発して天草へと向かいました。
川内、阿久根を通って長島に渡り、長島の蔵之元からフェリーに乗って天草の牛深へ。
天草西海岸にある大江天主堂を過ぎたあたりだったと思うのですが、バイクの燃料が少なくなっていたので、国道沿いのガソリンスタンドに入りました。
しかし・・・ですね、誰もいないんです、スタンドに。
初夏の天気の良い日、暑かったのでスタンドの日陰で休んで待っていました、お店の人が来るのを。
もう昔のことなので正確なことは分かりませんが、かなりの時間待ったのは憶えています。
それにしても・・・
誰もいない・・・
誰も来ない・・・
ただ時間だけが過ぎてゆく・・・
日陰で座っているのも疲れたので、誰もいない休憩所(兼事務所)に入って椅子に座って一服していました。
どのくらい待ったことだろう、やっと、休憩所の裏のドアが開いておばちゃんが入ってきました。
おばちゃんは私の顔を見るなり、
「あっ、ごめんね、待っとったちゃろ?」と博多弁ではもちろんなかったですが、そのようなことを(たぶん天草弁で)いいました、その後に、
「ヒマだったから裏山にビワを採りに行っとった・・・」と。
たしかにおばちゃんの手にしたカゴにはビワがいっぱいありました。
とにかくバイクにガソリンを入れてもらい、また事務所に戻ってお金を払って、出発しようとしたら、おばちゃんが「ビワを食べていきなさい」と言うんです。
のんびり気ままなバイクの一人旅、べつに急ぐ用は何もなかったので、事務所でビワをありがたくいただきました。
おばちゃんと二人でビワを食べながら、「のんびりしているんですね・・・ここは・・・」と言ったら、おばちゃんがうれしそうに笑ったのは何故かはっきりと憶えています。
ビワのこの季節になると、あの日の天草西海岸の美しい海とビワをご馳走してくれたあのおばちゃんを思い出します。
ガソリンスタンドでビワをご馳走になったのはもちろんそのときが初めてで、それから今まで一度もありません。
これから先もきっとないことでしょう。
※写真のビワは天草ではなく福岡市内で撮影したものです。^^ゞ